2008年11月19日

柿色

kakiiro.jpg

いつのまにやら 柿の木も
オレンジたわわな 田舎道。

消えてゆく ひこうき雲を 見上げてる
コスモス畑の少女の傍で、
重たい頸をもたげてる
茶色い向日葵の老婆たち。

大きな桜の樹の下を
車でそっと くぐったら
アスファルトに敷かれた 紅いキリムが
カサカサと 愛しい音たて 舞い散って、
茜さす 君の家路に 落ちるオレンジ。

田畑を焼く煙の 淡くたなびく 蒲生野は
いにしへに タイムスリップしたようで・・・
ノスタルジックな夕景に、
茜さす 君のこころが また溶ける頃。

“ただいま” を言って 手を洗い、
アルコロックに トスカーナのブドウ酒を。
いそいそと、サンクチュアリのキッチンに立てば、
窓の外、 紫色の夕闇に 一粒のヴィーナス。

三日月に グラスかたむけ “ありがとう” と言えば、
茜さす 君のかげりやすい心に ほら
渋柿色の灯がともる。

kakiiro02.jpg

※10月の終わり頃に書いたものなので・・・なんだか季節はずれになってしまいました。
  昨夕の強い北風が、今年も冬を連れて来たようです。
  みなさん、あたたかくして、どうぞご自愛ください。
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2008年11月13日

Chest


整理だんすを ください。
私の頭の中には
もう 収うところがありません。

整理だんすを ください。
クイーン・アン様式の
猫脚の ちょっと古風なやつを。

整理だんすを ください。
手紙や写真、文房具
もう 収うところがありません。

けれども 私は 何ひとつ
捨てられや しないのです。
これじゃ あふれるばっかりです。

整理だんすを ください。
悲しみや 切なさと あなたの笑顔を
分けて収える 場所を下さい。

整理だんすを ください。
苛立ちや 空しさと すこしの希望を
せいとんできる すべを下さい。

整理だんすを ください。
きのうと 今日と あしたを 収う
引き出しがいっぱいの 胸(chest)を下さい。





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2008年10月18日

ラブレター 〜from a cherry tree〜

君は覚えていますでしょうか。
凍える星の きれいな夜に
しのび逢った 恋心。

やわらかな 風の中で
見とれていた、
淡く舞う 花びらのこと。

照りつける 太陽を避け
私のもとで 休んだ午後や、

ともしび恋しき 夕暮れに
君の心に ひらりと降りた、
一枚の紅い 落ち葉のことを。

幾とせも、君を愛していました。
もう 随分と昔に、
君は去ってしまったのだけれど。
あれから、どれほどの歳月が流れたのかは、
私の心に重なった 年輪だけが知っています。

冬の空には、 細やかな黒い枝々をはり巡らせて。
春の空には、 ハカナイうす紅の花を咲かせ、
夏の空には、 深い緑の影をこさえ、
秋の空に 鮮やかに染まる
想いのこの葉を 散らしては・・・
君への想いは 今も此処に、
アイモカワラズ 空を見上げて、
永遠の空を見上げて 立っています。

君が さよならと 言ったのは、 
いったい いつの日のことか・・・。
君に さよならと 言ったのは、
まったく いつの日のことか・・・。

春になれば また、
沢山の人が 私を愛します。
春が過ぎれば また、
沢山の人が 私を忘れます。
けれども、
君への想いは 今も此処に、
アイモカワラズ 風に吹かれて、
夕暮れの風に吹かれて 揺れています。

君は覚えていますでしょうか。
私は、 あの日の 桜です。


(※まるで引き出しの奥に隠してあるそれのような、永遠に未完成の恋文です。)

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2008年09月25日

盲目の画家。


詩人という名の絵かきは、
自分の描いた美しい絵を、
いまだかつて 見たことがない。
なぜなら それは
読む人の、それぞれの頭の中に 描かれるものだから。

詩人という名の歌うたいは、
自分の作ったラブソングを、
いまだかつて 聴いたことがない。
なぜなら それは
読む人の、それぞれの心の耳に 響くものだから。

詩人という名の青年は、
自分の愛したひとの目を、
いまだかつて 見つめたことがない。
なぜなら 恋は
盲目で、 彼女はすでに 詩の中にしかいない。
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2008年09月21日

“夕べの光の家”by ナンシー・ウッド(井上篤夫・訳)


夕べの光の家で、わたしは過ぎし日を思い出す。
  一瞬一瞬がどのように姿を現し、飛び去って行ったかを
  それ以前に去ったすべてと、それ以後に来たすべてに触れながら。
ただ一つの瞬間ではなく
  瞬間と変わりゆく影との結合。

夕べの光の家で、わたしは自分の人生がひもとかれるのを見る。
  期待のバラ色の夜明けから
  真昼の太陽の灼熱まで。その明るい光がいま照らしだすのは
・・・・・(途中2行省略)・・・・・

夕べの光の家で、わたしは暗闇が落ちてくるのを見つめる。
  親しい顔が一つ、また一つと
  わたしのもうよく見えない目から消えてゆき
今朝あれほど大切に思われたさまざまなことが
  いまは時の口に呑み込まれるのを待っている。

夕べの光の家に、一つの星が現れて
  わたしを新しい地平線へと導く。
  そこには昼間のいっぱいの明るさの限界も
雨の約束をほごにした嘘つきの雲もない。
  明日には太陽から新しい心が立ち上る。


※ナンシー・ウッド ・著(井上篤夫・訳)今日という日は贈りもの』 角川文庫( 2007年)より、一篇抜粋させて頂きました。
posted by 今宿 夕湖 at 22:58| 滋賀 ????| Comment(0) | ナンシー・ウッド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月05日

ダイニング

沈む夕陽を Vanishing Pont にして、
輝く白いひこうき雲と 黒い電線が
そこへ伸びてゆく〈一本の道〉と共に、
美しいパース画を 描いている。

ダイニングの窓から それを眺めている
私の背後に もうひとつ、沈む夕陽が 輝いている。
カップボードの硝子戸の奥で、思い思いに光を弾く
食器たちは 今夜の出番に 胸を躍らす。

コーラルオレンジと スミレ色の、グラデーション。
窓の外に 広がるのは、宇宙。
小さな窓の額縁に 切り取られた、キレイな絵。

時計の針は まもなく 垂直一列に 並んで、
ワスレナグサ色の 小さなグラスに
紅いブドウ酒が 注がれる頃。

for dining.jpg
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2008年08月25日

雨と季節。

今朝の雨。
目を覚ましたら 聴こえてきた、
やさしい やさしい 子守唄。
こんな日は、ひねもす
雨に 抱かれていたい。

春の雨。
やわらかな若葉に しとしとと、
生きることを 語るよう。
とてもやさしい
母のことばで。

夏の雨。
カンカン照りのアスファルトに、打ち水。
夕立あとの 夜風の 匂い。
ツクツクボウシよ、まだ啼くな。
暑い暑い、も、好きのうち。

秋の雨。
長月、長雨... 長い別れ。
雨の降るたび
季節は 深く
紅く 儚く 染まりゆく。

神も無くして 霜も降り
最後の葉っぱを 落とす頃、
いつしか 雨は、沈黙をおぼえる。
想い出を、冬の星座に 重ねた頃に、
世界は 再び 白紙に戻る。

冬の雨。
カーテン越しの 仄明るい闇、
静けさに 軋(きし)む長靴の音。
そっと覗いた窓の外に 広がるのは...
生まれたての世界、 雪の朝。

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2008年08月14日

それが希望というものだから、

順風満帆で happyなだけの人生が、
もしも 存在したとして、
果たして、その中に、
〈希望〉という言葉は、
存在することができるだろうか?

「夢や希望に満ち溢れた・・・」
そんな言い回しに、いちいち
違和感を覚えてしまうのは、
へそ曲がりの私だけだろうか?

望みに満ちているのなら、
〈希なる望み〉とは、もう呼べない。
少なくとも、 私の心の辞書の中では。

悲しみの涙で 何もみえない。
深い霧の奥、 真っ暗な森の中、
どんよりとした雨雲の下。

絶望の淵に跪(ひざまず)いた君が、
岬の先の雲の切れ間に、
一筋の光の箭(や)を 見つける。
或いは、暗い夜空にみつけた、
名もない星屑だったかもしれない。

深い悲しみの中で 見出すもの。
それが〈希望〉というものだから、

やがて 明るく楽しい日々が、
君にも 必ず 訪れるから、
悲しむ君よ、忘れないで。
涙の中で 見つけた その〈ひかり〉を。

幽(かす)かに瞬く 星屑の光なら、
朝陽と共に 見失われてしまうから。

いつか 望んだ通りの日々が、
君にも 必ず 訪れるから、
その時 君よ、 覚えていて。
痛みの中でみつけた あの〈やさしさ〉を。

眩しさの中では 誰も、
大切なモノを 見失いがちだから。



posted by 今宿 夕湖 at 00:00| 滋賀 ????| Comment(0) | Message | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月07日

冷凍庫の底で、


“想いを秘める” と いうことは...
それは 例えば 〈瞬間フリーズ製法〉で
とある想いを 新鮮なまま凍らせて、
気の向くときまで...
そうね、「会いたい」という言葉すら、
美しいまま 眠らせておく...
そんなような ことかしら... 。

ある時 ふと 思い立って、
もしくは、無性に 欲しくなって...
そうしたら いつでも 記憶の冷凍庫から、
凍らせた情熱を とりだして、
今度は 〈自然解凍〉で、
ゆっくり それを 溶かして下さい。
(お急ぎでしたら 〈流水解凍〉も 可能ですが、
風味は 少々劣ります。)

この恋を、冷凍マンモスの様に。
あなたが いつか 思い出す日まで、
冷凍庫の底で、
化石のごとく 私は 眠る。

そして、 あなたが
思い出せば いつだって、
この想いは あの時の味のまま、
いつでも、 いつまでも、
おいしくお召し上がり頂けます。

So, please,
give enough time to thaw
(my freezed love),  someday。

posted by 今宿 夕湖 at 13:26| 滋賀 ????| Comment(0) | Romance | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月28日

想い出はいつも風の中、

想い出はいつも 君の背で、
コグマ座のように 輝いている。
だから 君は お行きなさい。
前だけ向いて お行きなさい。

想い出はいつも 胸の奥、
コスモスのように 咲きほこる。
だから 君も お咲きなさい。
今日という日に お咲きなさい。

大丈夫だよ。 その日々は永遠に・・・
消えたりなんか するものか!
光年を越えた この場所で、
今でも 君を 見守っているから。

想い出はいつも 子守唄、
目を閉じれば いつだって
君の笑顔はやさしくて...
明日を 生きる 望みをくれる。

想い出はいつも 風の中、
手を伸ばせば 今もまだ
この手に 触れられそうなほど...
あの日の君の やわらかな手のひら。

posted by 今宿 夕湖 at 14:46| 滋賀 ????| Comment(2) | Memory | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月15日

Brenda。

ブレンダは 死んだ。
三日前、友だちに
なったばかりだったのに。

ブレンダは 死んだ。
ひとなつっこい性格で、だけども
いつも、程よい距離を 保ってくれた。

ブレンダは 死んだ。
それは 真夏の昼下がり、
洗濯物も乾涸(ひから)びる 灼熱の窓辺で、

ブレンダは 死んだ。
小さくなって動かない。それが
彼女だという証拠なんて ないけど。

ブレンダは 死んだ。
私は 彼女を掌にのせて、
ベンジャミンの鉢に、小さなお墓を作った。

ブレンダは 死んだ。
彼女の名前は、私が付けた。
好きな映画の小柄な黒人女性の名前。

ブレンダは 死んだ。
彼女に名前をつけた時、私は
遠い昔の恋人のことを思い出していた。

ブレンダは 死んだ。
その男は、笑いながら、時々
蠅(はえ)に 名前を付けていた。

ブレンダは 死んだ。
さようなら 。
小さな、小さな、 私の友だち。




posted by 今宿 夕湖 at 17:26| 滋賀 ????| Comment(0) | Memory | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月07日

“海” by 高田敏子

少年が沖にむかって呼んだ
「おーい」
まわりの子どもたちも
つぎつぎに呼んだ
「おーい」 「おーい」
そして
おとなも 「おーい」 と呼んだ

子どもたちは それだけで
とてもたのしそうだった
けれど おとなは
いつまでもじっと待っていた
海が
何かをこたえてくれるかのように


※「高田敏子詩集(新川和江編)
より、一篇抜粋させていただきました。
posted by 今宿 夕湖 at 15:47| 滋賀 ????| Comment(0) | 高田 敏子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月26日

忘れな草の色の風、

まどろむ午後の静けさの中、
ぺたんぺたんとスリッパ鳴らし
階段登る、誰かの足音。
その音は、だんだん耳に近づいて、
私の後ろのボロ扉(ドア)が、
鈍い音を鳴らして 開く。

無造作に扉を閉めた その主の、
気だるく、まるで雪男の歩むような、
そんな足音で、あなた、と知ると...
いつか登った山頂で、ひんやり吹いていたような
涼しい風が いつだって、心の雲を、 
ひゅうと さらって 吹き抜けた。

心の樹々を、ザワザワと揺らしたその風は、
なぜだか いつも、
勿忘草(わすれなぐさ)の色をしていた。

“Vergiβ mein nicht!”
 (forget me not!)
恋人の為に、青い花を採りに行った、
ドイツの青年は川に流されて死んだ。

☆続きがあります☆
posted by 今宿 夕湖 at 16:02| 滋賀 ????| Comment(0) | Wind | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月11日

名前を改めました。

white.JPG

いつも“水色の雨傘”をご愛読頂き、本当にありがとうございます。

突然ですが、私のペンネーム“歌崎 夕湖”を、改めることに致しました。

祖母の旧姓を借用して“歌崎”と名のっておりましたが、
今後は思い切って、私の本名の姓を名のる事に致しました。

新しい名前は・・・
“今宿 夕湖 (いましゅく ゆうこ)” と申します。

詩の更新のペースが思わしくございませんが・・・
意気込みは息絶えてはございません!
今後もスローペースの更新となるかと思いますが・・・
これからも末永いお付き合いを、心よりお願い申し上げます☆

2008年 6月吉日、 今宿 夕湖 。
posted by 今宿 夕湖 at 18:16| 滋賀 ????| Comment(0) | *お知らせ* | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月02日

あなたこそ、

テーブルの上に 何もなくなると、

時々 あなたは こう言うの。

決まって 私に こう言うの。


詩なんて、 ちっとも わからない。

詩なんて、 とっても たいくつで、

詩なんて、 ほんとに つまらない!


けれど、 私は 黙ったまんま。

あなたの顔を ちらっと 眺め、

こっそり くすっと わらうのよ。


(あなたは、本当に 面白い人。)

 だって、 私は 思ってる。

 いつも、 私は 思ってる。


なぜなら そういう あなたこそ、

私にとっては あなたこそ、

詩、 そのもの なんだから。


 

posted by 今宿 夕湖 at 16:58| 滋賀 ?J| Comment(0) | Think about ‘lylic’ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月15日

“悲しみの部屋” by アーサー・ビナード


予約もなく 夜遅くに到着して フロントで
「なるべく悲しい部屋をください」 と頼んだ。
男は しばらく考えて 頷き 案内してくれた。
潮騒が聞こえて 海は見えない この部屋へ。

波の音はわたしの悲しみを なでては
逆なでして なでては擦り やがて眠らせた。
目が覚めると 窓から 赤い屋根が見え
その瓦はみな 朝の日差しに背を丸めていた。

ゆうべのフロントの男は ちょうど
中庭でゼラニウムに 水をやっていた。
「結果的にはあまり悲しくない部屋だった」 と
わたしがいうと 彼は 「悲しみをずっと
同じ部屋に常備するのは難しく・・・・・・」 と。
ホースのしぶきは 虹を作っていた。


※アーサー・ビナード・著『左右の安全』(2007年・集英社)より、
 (一行たりとも欠くワケにいかなかった為、失礼ですが)一篇全文抜粋させていただきました。
posted by 今宿 夕湖 at 22:45| 滋賀 ????| Comment(0) | アーサー・ビナード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月01日

記す人。


立ち止まる。
椅子を引く。
腰掛ける。
机に向かう。

引き出しを開ける。
紙キレを探す。
(それを見つけて、引き出しを閉める。)

ペン立てから筆をとる。
少しの間、考える。
姿勢をすっと正す。

その紙に、左手をやさしく添え、
サラサラと、一気に筆を走らせる。

筆を止める。
読み返す。
少しうなづく。

それを 二ツに折って
ポケットにしまう。
折り目正しく、筆を戻す。

君は今、その白い紙に
どんなことを記したのだろう。
・・・と、
想いをはせてみるのも愉しい。

私は、君の、字が好きだ。
そして、
それを、したためている君の、
静かなたたずまいが、好きだった。

筆をとる度、想い出す。
私の心に 記された、
記す姿のうつくしい人。

posted by 今宿 夕湖 at 16:52| 滋賀 ????| Comment(0) | Memory | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月21日

贅沢な料理

夕暮れ時に、
有機ワインのコルクを抜き
ヴェトナムグラスに なみなみと注いで、
上機嫌で 料理を始める。

沈む夕陽に、紅々(あかあか)と頬を染め、
青森育ちのにんにくを刻んだら、
スペイン産の上質なオリーブ油で、
焦らずゆっくり、弱火でじっくり。

伊勢湾出身の活アサリに祈りをささげて、
安物白ワインをふりかけて蒸す。
逝く月日にも 祈りをささげ、
またいつか君に逢いたい、と願う。

音楽は 心の向こう、
空の奥にまで ・・・
深く遠くに 響いて染みる、
美味なるバルサミコと共に。

若くも老いてもない私の、
長くも短くもない、平凡な人生の旅の途中。
本日の楽しい食卓を夢にみて、
仄酔いで唄うは 鼻歌のシャンソン。

想い出と話しながら
一期一会のスパイスをふって、
この葡萄酒に合う
イタリアンを創る。




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2008年04月11日

春の雪

 
日々愛でた 

  うしろ姿が その角に

消えたあとには

         春の雪 降る ・・・。



sakura2008b.JPG


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2008年04月06日

銀色の夕暮れに、

いつも桜の咲きだす頃に
きまって降る黄色い砂の濃い霧が、
いつもは近しい山々を
水墨画のように遠くに魅せていて、

街角も、 心なしか シノワズリィ。

灰色の空に白く輝く太陽が
十六夜(いざよ)う月のふりをして、
淋しげな夢のような...
銀色の夕暮れに、

ぽっかりと 眩しい穴を あけている。

幾重にも重ねた春を思い出しながら、
まぼろしのような、こんな景色の中で、
もしも今、偶然に君と出逢ったら...
〈やっぱり 夢か。〉と思うだろう。 それくらい、

町は いま、淡くはかない夢の中。

まだ五分咲きで肌寒そうな 
うすくれないの樹々たちは
サンドグレーの静寂に
ほんの少しの彩りを添えて、

いつもとかわらぬ街角に、
ひっそり 黙って 佇んでいる。


 



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